海に落として電源が入らないSony HandyCam HDR-CX370からデータ復旧

海外旅行中に誤ってハンディカムを海に水没させてしまい、電源が入らなくなったとの事でお客様からデータ復旧のご相談を承りました。ハンディカムを水没させてしまった際は、よく乾くまで電源は入れない方が良いです。しかし、大切な思い出が詰まっているほど心配になってしまい、復活の可能性にかけて何度も電源を入れてしまいがちです。
今回は海に水没して電源が入らなくなったハンディカムからのデータ復旧事例をご紹介させて頂きます。

ご依頼内容

旅行中にハンディカムを海の中に落としてしまい、すぐに拾い上げたが電源が入らなくなりました。大切な旅行中の動画が録画されているので、何とかデータを取り出したいですが、まだ旅行中の為、機器を発送できるのが1週間後くらい先になります。故障から時間が経つとデータに問題が発生するのでしょうか。
また、データを取り出した後にハンディカムを使用可能な状態にする事は出来ますか?

カメラ内部

カメラ内部全体に海水が乾いた事による不純物が付着しています。

内蔵メモリ基板が取り付けてあった部分に乾燥した不純物が固着して、塩をふいている状態でした。

電源接続部

電源接続部が海水で腐食しています。

メイン基板にも不純物の塊があり、水没後に電源を入れた事によりショートした痕跡も見受けられます。

内蔵メモリ基板

データが記録されている内蔵メモリです。

複数箇所に不純物の付着や腐食、通電によりショートしたような跡がありました。メイン基板のショートであればデータ復旧に問題無いのですが、メモリー基板がショートするとメモリチップがダメージを受ける事もあり、一般的に重度物理障害と判定されます。

作業結果

ハンディカムを解体して調査したところ、カメラ内部が広範囲に渡って腐食している状態でした。海水の中に落とした際に、大量の海水が入り込んでしまったと思われます。
内蔵メモリのデータ解析を行ったところ、記録されている全ての動画を完全な状態で復旧する事が出来ました。

復旧した動画につきましては、ご家庭のBlu-rayデッキでそのまま再生が出来るBDビデオディスクとして無料で作成、記録させて頂きました。

海に水没したカメラは全損扱いとなりメーカー修理対象外となります。海に水没した場合でも、基板洗浄等で復活する場合もありますが、今回のケースは故障の影響範囲が広くカメラの再利用は不可能と判断させて頂きました。

ビデオカメラが水没して壊れてしまってから時間が経っていてもデータは復旧出来ます。しかし水没したビデオカメラは無理な通電を繰り返すことで、基板がショートして状態が悪化する場合があります。ビデオカメラが水没した際は、何度も通電する行為は控えた方が良いです。

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