水没、水濡れ故障したビデオカメラを自力で復活させる方法

ビデオカメラを水没させた直後に、焦って電源を入れた所、一瞬電源ランプはついたものの消えてしまった。どうしたら良いでしょうか。ビデオカメラ本体のデータは無事ですか?そのようなご相談をよく頂きます。ビデオカメラに限らず、水没した電子機器は内部が完全に乾くまでは電源を入れない方が良いです。
しかし、お電話でご相談を受ける際に『まだ電源は入れていません』と答えられる方は、30人に1人いるかどうかです。水没後に電源が入った場合は相談を受ける事も無いので、実際はほとんどの方がビデオカメラ水没後に電源を入れている事が分かります。

考えてみればごく自然な事で、ビデオカメラが水濡れや水没したら電源を入れてみない事には、故障しているか判別出来ません。無事に電源が入れば『良かった』で終わりますし、電源が入らなくて困っているからネット検索して解決方法を探るわけです。水没したビデオカメラは電源を入れないで!と呼びかけた所でその声はなかなか届きません。

水没後にビデオカメラの電源が入らなくなり、本体に記録されているデータを確実に復旧したい場合は、弊社のようなデータ復旧専門店に任せるのが手っ取り早く確実です。しかし、ビデオカメラ本体の中に少量の映像データしか記録されていない場合など、お金を払ってまで復旧する必要があるのか迷う場合もあるかと思います。

お客様からのお問い合わせで、ビデオカメラが水没して電源が入らなくなったけど、データ復旧サービスを利用しようか迷っています。早く決断しないとデータはダメになるのでしょうか?と質問を受ける事もあります。でも安心して下さい。故障から数か月経った所でデータに影響はありません。それどころか正しい方法で保管する事で、ビデオカメラの電源が復活する事さえあります。

ビデオカメラが水没しても焦る必要はありません。ダメ元でもいいから自分で復活を試みたい場合は、まずはビデオカメラからバッテリーを取り外して、本体を徹底的に乾かしましょう。水没したビデオカメラを復活させるには、待つ事が大事です。ビデオカメラ本体内部がしっかり乾くまで電源を入れずに待てば、一定の割合でビデオカメラの電源は復旧します。むしろ、ビデオカメラは水没直後の電源投入よりも少し時間が経ち、本体内部が半乾きの状態で電源を入れると、回復不能な故障に繋がりやすく、自力での復活が難しくなります。その理由もあわせて説明していきます。

ビデオカメラの水濡れや水没後に通電した際に、ショートにより電子回路が焼けてしまった場合など、どれだけ頑張っても電源が復旧しない場合もあります。ここで紹介する方法を試してみて電源が入らなかったとしても、その過程でデータを失う事はありません。試して上手く行かなかった場合でも、データが必要な場合はディスクセーフにご相談頂ければ、データは取り戻せますのでご安心下さい。

目次

まずは慌てず電源を切り、バッテリーを取り外す。

ビデオカメラを水没させた際に、本体が故障していないか不安になり、すぐにでも電源が入るか確認したくなります。

しかし、ここはぐっと堪えて下さい。ビデオカメラ本体内部に水が入ったままの状態で電源を入れてしまうと、電子基板のショートによりビデオカメラが二度と起動しなくなる可能性が出てきます。水没後に電源を入れてしまっている場合でも、まだ復活の可能性はあるので、とにかく電源は入れないようにします。


押さえておきたいポイントは、たとえビデオカメラが水没したとしても、その時点ではまだ故障していません。電源を入れた時に、本来電気が流れてはいけない場所に電流が流れる事ではじめて物理的に故障します。通電をするまでは、単にビデオカメラの中に液体が入っている状態であり、適切な処置を施せば復活する可能性が一気に高まります。

厳密には水そのものがビデオカメラの故障を引き起こす訳ではなく、水分中に含まれる塩分や不純物などの溶媒が水を溶液として電解質に変わり、その状態で通電する事で基板回路のショートを引き起こして故障します。
これら不純物は、水分が無い状態では電気を通す事が出来ません。だから徹底的に乾かす事が大事です。

不純物のほとんど無い澄んだ川などでは、本体内部に水が入り込んでも、何事もなく電源が入る可能性は高くなりますが、長らく使用してきたビデオカメラ本体内部には、ズームレバーや液晶ヒンジの隙間から細かなダストや砂埃などが入り込んでいる事もあり、それらが水分と混ざり合う事で結果としてショートを引き起こすことがあります。

また、水濡れしてしばらくの間は電源が入っていても、本体内部の水分が蒸発してきた頃に、水分中の電気伝導度 (電気の通しやすさ)が上がってしまい、時間差で故障する場合もあります。

水濡れ後に電源が入ったとしても、出来ればすぐに電源を落としてください。電源が入ったからラッキーと思い、自宅に戻りSDカードやPCなのでバックアップを取っている最中に、液晶画面の表示がおかしくなったり、操作不能になったりビデオカメラの挙動がおかしくなり、その後二度とビデオカメラの電源が入らなくなる場合もあります。このような場合、回路パターンがショートでダメージを受けている事が多く、再び電源が入る可能性はほぼ無くなります。

なお、水没後にビデオカメラのバッテリーを装着したままの状態にしておくと、電源ボタンを押してもいないのに勝手に通電して故障する場合もありますので、必ずバッテリーは取り外してください。
バッテリーを取り外す事が出来ない機種は、せめて液晶画面が開いて通電しないようにビデオカメラ本体をタオルなどで包んでおくと良いでしょう。

本来は水も塩も電気を通しませんが、塩が水分に溶け込むと、ナトリウムイオンと塩化物イオンに分離して、よく電気を通す食塩水に変わります。おなじく塩分を多く含む海水も非常に電気が流れやすい特性があります。ビデオカメラ本体の内部をよく乾かして水分を完全に飛ばすことで、塩などの不純物は固形化して電気を流さなくなります。その性質を理解しておく事が、水没したビデオカメラ復旧成功への近道になります。

とにかくビデオカメラ本体を乾燥させる

ビデオカメラからバッテリーを外したら、次にする事はビデオカメラ本体内部に入り込んだ水分を蒸発させる事です。ビデオカメラは水が入り込んだから故障するわけではありません。水が入り込んだ状態で通電する事により、ビデオカメラ本体内部に入り込んだ不純物が通電を引き起こして、回路をショートを引き起こして故障します。

つまり、ビデオカメラ本体内部に残留した水分を徹底的に飛ばしてしまえば良いのです。水分を飛ばす方法はいくつかありますが、その中でも誰でも手軽に実践しやすい方法を考えてみました。
ビデオカメラ本体内部を乾燥をさせる方法として、参考にしてみて下さい。

袋の中にビデオカメラとシリカゲル(乾燥剤)を一緒に入れて、1週間ほど放置する。

事前に準備するもの
  • シリカゲル(写真は100均で購入した物。乾燥剤は瓶ノリや缶アラレなどに入っている物でもよい)
  • 密封できる袋(ジプロック等が理想だが、輪ゴム等で口をしっかり縛っても良い)
  • 除湿出来ているか心配であれば、湿度計を袋の中に入れておくと良い。

ビデオカメラ本体とシリカゲル(乾燥剤)を適度な大きさの袋に入れて、袋の口を閉じて密閉します。ビデオカメラから水分を蒸発しやすくするために、保管する場所は25度~40度の気温が理想です。

シリカゲルの量は50gを目安とします。多めに入れても問題はありません。

目安としては1週間ほどそのままの状態でそっと保管しておきます。また保管の際は、ビデオカメラを傾けたり横向きにはせず、ビデオカメラの底面が下に来るようにすると良いでしょう。

早く乾燥させたいと思う余り高温過ぎる環境に置いておくと、ビデオカメラが熱故障を引き起こし、完全な乾燥が出来ても結果的にビデオカメラを壊してしまい、作戦失敗に終わる可能性が高まります。
冬場などは気温が低い環境では、湿度が低くても水分が蒸発しにくくなるため、乾燥期間(放置期間)を長めにとる必要があります。気温にもよりますが、2週間位待ちましょう。

また、袋に入ったビデオカメラは玩具として興味をそそるかもしれません。保管中に落下などの予期せぬトラブルを避ける為に、ペットやお子様などが触れる事が出来ない場所に置くようにしましょう。

ビデオカメラにドライヤーをあてて乾燥させたり、ファンヒーターの前に置いたり、電子レンジで水分を飛ばす行為は絶対に避けて下さい。ビデオカメラの基板回路を痛めたり、カバーが変形するだけでなく、HDDやメモリーにもダメージを与えてしまい、プロでもデータ復旧が困難な事態に成りかねません。
水分を飛ばす際は、長期戦で臨む覚悟で冷静にじっくり構える姿勢が大切です。

冷蔵庫(冷凍は不可)の中でビデオカメラ本体を乾燥させる

事前に準備する物

特にありませんが、冷蔵庫内はビデオカメラをゆったり置けるスペースを確保しましょう。

冷蔵庫は除湿を目的とした家電ではありません。しかし、一般的に冷蔵庫内の湿度は30%以下と低い為、水分が蒸発して乾燥しやすい環境と言えます。シリカゲルの入手が難しく乾燥剤作戦が実行出来ない場合は、冷蔵庫も有効です。ただし冷蔵庫を利用する場合は、冷蔵庫から取り出す際に、ビデオカメラ本体内部が結露しないように注意が必要です。

冷蔵庫でビデオカメラ本体内部を乾燥させる場合は、必ずバッテリーは外した状態で、ビデオカメラ本体をハダカのまま冷蔵庫に入れます。ビデオカメラの構造上、可能であれば液晶画面は45度ほど開いた状態の方が水分は飛びやすくなります。とにかく中に入り込んだ水分を徹底的に飛ばすつもりで冷蔵庫内に入れて下さい。室内温度は5℃位で乾燥に必要な期間は2週間ほどが目安です。

冷蔵庫作戦で気を付けなければならない点は、ビデオカメラを冷蔵庫から取り出す際に、いきなり常温に戻すと急激な温度変化により本体内部が一時的に結露します。冷蔵庫から取り出す際は、冷蔵室から野菜室に移動させて1時間ほど放置した後、野菜室から取り出した後も、しばらくは電源は入れずに常温で慣らす必要があります。ビデオカメラ本体内部の水分が完全に飛べば、ビデオカメラ復活の可能性に大きく近づきます。

冷蔵庫での乾燥作戦を行う場合は、冷蔵庫からビデオカメラを取り出す際に時間をかけてゆっくり常温に戻す事を意識して下さい。また保湿効果を持つ一部の高機能冷蔵庫では乾燥効果は得られません。お持ちの冷蔵庫がどのタイプなのか事前にお調べ下さい。

ビデオカメラを分解する(上級者向け)

究極の技になりますが、最終手段としてビデオカメラ本体を分解して、本体内部に入り込んだ水分や不純物を直接除去する方法もあります。

ビデオカメラ本体は、精密ドライバーとギターピックのような細くて丈夫なヘラがあれば解体可能です。

ビデオカメラの内部構造は繊細かつ複雑で、手順通りに分解しないとパーツを壊してしまったり、分解したビデオカメラを元に戻せなくなる事も十分に考えられます。また、発光フラッシュを搭載しているビデオカメラには電圧コンデンサが入っているため、感電リスクも伴います。

分解は完全な自己責任となりますので、精密機器の分解や組み立てに自信が無い場合は避けた方が無難です。

乾燥後に電源が入った場合

水没や水濡れしたビデオカメラは、内部が十分に乾燥して電源が入っても、日数を置いて電源が入らなくなる可能性もあります。ビデオカメラの電源が入ったらすぐ本体に記録されているデータのバックアップを取ります。

また、水没したビデオカメラを乾燥する際に、SDカードの接点に錆が浮いてきたり、酸化被膜が出来る場合もあります。SDカードへのバックアップが出来ない場合は、USB端子でPCと接続してみて下さい。また、USB端子とパソコンを接続しても正常に認識されない場合は、SDカードへのバックアップも試してください。

ビデオカメラ本体内部が完全に乾燥出来てない場合、ビデオカメラ本体の電源が入っても内部からジリジリと異音がしたり、本体が熱を持ったり通常とは異なる不自然な動作をする場合もあります。異変に気づいたら直ちににバッテリーやACアダプターを取り外してください。乾燥が足りない場合は、再度乾燥を繰り返してみて下さい。

それでもビデオカメラの電源が入らない場合

しっかりとビデオカメラ本体内部を乾燥してもビデオカメラの電源が全く入らない場合、基板の回路パターンがショートにより焼けている可能性が高くなります。
特にビデオカメラの電源が入った状態で水没すると、水没後すぐにショートを引き起こしている事もあり、そのようなケースではどれだけ乾燥させてもビデオカメラの電源が回復する事はありません。

自力ではどうにも出来なかった場合は、ディスクセーフのビデオカメラデータ復旧サービスをご利用頂ければ、本体に記録されているデータを安全確実に取り戻す事が可能です。
これまでに水没故障したビデオカメラから豊富なデータ復旧実績があり、2017年以降は水没したビデオカメラにつきまして他社様で復旧不可と断られた物も含め、全数データ復旧に成功しています。
思い出の詰まった大切な映像を失うのは本当に悲しい事です。一日も早く、大切なデータを取り戻して安心して下さい。

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